奇跡が起こった夕方
ここでは、筆者自身が体験した奇跡についてご紹介しましょう。
「奇跡」といっても、たいしたことのない話なのですが……
帰ってきた愛猫
子供の頃に、猫を飼っていました。
私が小学生の頃の話です。
動物が好きだった私のために、父親が職場の同僚から産まれたばかりの子猫をもらってきたのでした。
お菓子の名前が入った紙袋の口から、ちょこんと顔を出してるのを見て、最初はぬいぐるみなのかと思ったくらい小さい子猫でした。
一言「にゃあ」と鳴いたときは、逆に、家族全員がびっくりしたのを覚えています。
それから、まるで兄弟のように、一緒に遊び、一緒に喧嘩して、一緒に眠り、数年が経ちました。
学校から帰り、その子の名前を呼ぶと、窓側のカーテン裏から鈴の音が聞こえて、カーテンをめくると、その子がいる……そんな毎日でした。
そして、別れがやってきます。
それから、毎日が寂しくて。
寂しさを紛らわすつもりで、普段行かない図書館などで猫の本を読みあさり、猫の飼うことについての難しさを知り、そして、何もしてなかったことに後悔しました。
死んでから数日たったくらいだったでしょうか。
鈴の音が聞こえます。
カーテンの裏から。
もちろん、カーテンをめくってもいません。
だいたい、いつも夕方くらいに聞こえます。
母親がいるときに確認してみると、「聞こえるね」といいました。
それが数日続いて、それ以来ぱったりと聞こえなくなりました。
それだけのお話です。
でも、そのおかげで私は立ち直れることができました。
下手をすれば、いまでいう“ペットロス症候群”になっていたのかもしれません。
その闇に落ちなかったのは、ひとえにこの体験のおかげだったといっても過言ではありません。
そして、その鈴の音に誓ったのです。
「しっかりと世話をできる自信ができるまで、もうペットは飼わない」と。
あれから十年以上経ちましたが、今でもペットを飼っていません。
たいしたことのない話ですが。
私にとっては、人生においての誓いをするほどの“奇跡”体験だったのです。